• 2023年5月14日

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名古屋シネマテークをご贔屓にしていただいた皆様へ


突然のことで、申し訳ありませんが、この度、7月を持ちまして閉館することしました。
経営の危機は、これまでに度々ありました。
■1971年以来、ホール上映を続けていた【ナゴヤシネアスト】から、1982年に自らの場所として固定した小屋【名古屋シネマテーク】を設立して3年目のことです。
 友人である元ウニタ書店の竹内真一氏に相談したところ、5年間は面倒をみようと。
■故・平野勇治氏が、上映したい作品がある。
 勅使河原宏監督の【アントニー・ガウディ】。1984年のことでした。
 これによって、それまでの赤字が解消。
 気が大きくなるもので、積極的な企画を提示。
 その中に、壮大なる企画。1984年に始まった【ドイツ映画大回顧展】もその一つです。サイレントからトーキーまでの150作品を超える作品群。
 最初の頃は、日本語字幕がなく、映画祭などと同様、フイルムに傷をつけることは許されず、その作業はアテネフランス文化センターが考案・改良を加えたスライドを活用したものでした。特許も取得していたようです。
 スタッフ、観客総動員、楽しかったなぁ!
 小屋がなければ成立しなかった企画でしょうか。
■時は進み、1998年【ムトゥ 踊るマハラジャ】が大ヒット。いわゆる【渋谷文化】の到来です。
 弱り切っていた既存の興行界では冒険ができず見向きもされない領域でした。
名古屋においても既存のルートでは関心がなく、名古屋シネマテークの一人舞台。
 しかし、既存の配給は気付き、徐々に浸食されることになります。
 それに伴い名古屋シネマテークの収益も赤字幅が増加していきました。
【見たい作品を自ら上映して見る】という初期の精神が失われていったことにも、要因の一端だったかも知れません。
 今回の危機は、2010年から続く映画環境(閉館後、分析する予定)の変化が大きく影響しているかも知れません。
【やりたい作品がない】と言い続けていた平野勇治の言とすでに符号するようです。
■既に2020年3月には、危険水域に達しておりました。
 この段階で閉館も考慮しましたが、【ミニシアター・エイド】の話題性から、及び、有志が立ち上げていただいた【シネマテーク・エイド】などで支援が集まります。さらに政府・行政からの支援策も加わり、長らえてまいりました。
 この間の蓄えが消えたときが【やめ時】と決めていました。
 昨年から、政府・行政の支援が打ち切られたことにより、赤字幅が大幅に拡大します。
■現在、週18万円前後の赤字が続いています。この調子で推移すると、7月が限界点に達します。年間換算では、900万円前後のマイナスです。閉館選択の苦渋をご理解下さることを御願いします。

     一般社団法人 名古屋シネマテーク 代表理事 倉本徹
                        2023年5月14日



 2023年7月21日


新型コロナウイルス感染症、5月8日以降は感染症法上の位置付けが大きく変わりました。名古屋シネマテークでは、消毒・除菌・換気などの対策は引き続き行っていきます。ご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。


 明日からの「原一男監督特集」を持ちまして、名古屋シネマテークは閉館させていただきます。残り一週間となった名古屋シネマテーク、連日原監督をお迎えして、『さようならCP』『極私的エロス・恋歌1974』『ゆきゆきて、神軍』『全身小説家』『またの日の知華』『ニッポン国 vs 泉南石綿村』『れいわ一揆』『水俣曼荼羅』、日替わり連続上映です。異色作・話題作・問題作など、さまざまに表される原一男監督作品ですが、社会と切り結ぶ切先の鋭さ、この機会に改めてご堪能いただきたく思います。連夜CINEMA塾も開催。原監督の映画への情熱を間近で感じ取っていただきたいです。