狂わせたいの


● 狂わせたいの
 97年の自主製作映画フェスで名古屋に初登場し過激な印象を残した作品が、東京大阪での大ヒットに続いて堂々の凱旋上映。ヤノベケンジらとのコラボレーションでも知られる京都の美術作家石橋義正が、脚本から美術セット、撮影、編集まですべてをコントロールした異色のこだわりムービーの再登場。気弱な男が夜更けの道で迷いこんだ、めくるめく快楽と騒乱の不条理迷路は、まるでガロの1ページから抜け出てきたかのようなノスタルジックでグロテスクな雰囲気に満ちあふれている。次々と登場する常軌を逸した女たちの誘惑と脅迫をくぐりぬけ、気弱な男は女難地獄から脱出できるのだろうか。タイトルにもなっている山本リンダの「狂わせたいの」をはじめ、70年代日本を代表(?)する過激な歌謡ポップスが、バカバカしくも大音響で歌い踊られる様は圧巻。壮絶なキャラクターを発揮する出演者がほとんど素人というのも驚きだが、京都のパフォーマンスグループ、ダムタイプのメンバーも出演するのでお見逃しなく。

監督・脚本・制作・撮影・照明・編集・美術・出演 石橋義正
出演 岡本孝司、分島麻美、キララはづき、木村真束、ほか
音楽 アーティスティック・コンセプツ
97年 60分


【モノクロ】