kino


● kino
 湖池屋「スコーン」、サントリー「モルツ」、NEC「バザールでござーる」、トヨタ「カローラU」など数々のヒットCMで知られるコマーシャル・プランナーの第一任者・佐藤雅彦。電通退社後、初めて作ったゲーム「I・Q」も100万本を超えるヒットとなり、ますます活躍の場を拡げている彼の、映画監督第一作が『kino』だ。
 「I・Q」の制作から解放された彼の脳裏に、突然浮かんだイメージ。それは、大笑いするほど楽しいのに、何か切ない出来事が、地球上のどこかで一杯起こっているという映像だった。数々の国を訪ね歩きようやく出会ったその場所、ルーマニアで6本のショート・フィルムが撮影された。思わず微笑を誘うユーモア。シンプルだけど卓抜なアイデア。そしてささやかな日常の中で見失われがちな宝石のような瞬間に満ちた6編が、ひとつにまとまって『kino』=映画になった。見る者におだやかな時間を約束する、素敵なフィルムだ。

監督・脚本 佐藤雅彦
撮影 ピエール・ストゥベール
98年 52分