鯨捕りの海


● 鯨捕りの海
 現在棲息している鯨は80種以上になる。その中で、絶滅の危機に瀕しているといわれているシロナガス鯨、ザトウ鯨などを含む15種類ほどの鯨がIWC(国際捕鯨委員会)の取り決めによって1930年代から順次捕獲禁止にされてきた。しかしゴンドウ鯨類やツチ鯨はその管理外にあり、日本が独自に捕獲枠を決め捕鯨を続けている鯨である。この映画は日本の沿岸で続けられている沿岸小型捕鯨を中心に、北太平洋でのミンク鯨の捕獲調査やノルウェーの捕鯨の模様を丹念に追っていく。5月1日、鯨漁解禁の日を待って出漁する第三十一純友丸。6人の鯨捕り達は、漁期の終わる10月まで船上で共同生活を続けながら鯨を追うことになる。夏、和歌山県太地町の漁港を基地にしている純友丸はツチ鯨を追って千葉県和田浦に移動。見事10mの鯨を50mm砲の1番銛で射止める。捕鯨を通して生命の尊さを静かに語る砲手の和泉。「私たちは生き物を殺しています。でもそのことはいつも忘れないようにしているんです。」昔ながらの伝統(生活)と都会にある「かわいそう」の声の間で海の男たちは生きていく。東陽一監督他の助監督を務めた梅川俊明氏の初監督作。

監督 梅川俊明
撮影 一之瀬正史
録音 弦巻 裕
現場録音 奥井義哉
撮影助手 谷中重樹
製作補 林三津良
音楽 林英哲
製作 山上徹二郎、庄幸司郎
1998年 85分