ロシア映画秘宝展


○ 旧ソビエト連邦。国家による映画製作への介入は、自由な創作行為を阻み、幾多の上映禁止や作り手達の亡命を生んだが、その一方で多くの秀れたアニメーションや幻想・SF映画を世に送り出すという功績(?)もあった。自由への希求を胸に秘め、意表を突いた発想と技法で夢幻を創造した映画たちを、今、見直そう。
● 火を噴く惑星
 金星に降りた5人の宇宙飛行士と、敬語でしか命令に従わないロボットのジョンは、次々に奇妙な出来事に遭遇する。人を喰う巨大植物、暴れまわる恐竜群団、火山の爆発……。彼らの運命は? カルト的人気を誇る手作りSFの快作。82分。

● 妖婆・死棺の呪い
 ゴーゴリの妖怪小説「ヴィー」を特撮の魔術師プトゥシコが映画化。美しい妖女に取り憑かれた神学生の恐怖と戦慄の3日間を描く、ファンタジックな怪作。78分。

● アエリータ
 トルストイのSF小説を映画化した、ソビエト初のSF映画。構成主義美術家達による装置、衣装はロシア・アヴァンギャルドの光芒を今に伝える。先駆的名作。90分。

● 死者からの手紙
 核爆発後の地球。地下に逃れたランセン博士は生き別れとなった息子 を捜すが……。『ストーカー』の原作者として著名なSF作家ストルガツキーの脚本を、レン・フィルムの俊英ロプシャンスキーが映画化、“核の冬”を描いた傑作として世界的に注目された。88分。

● スタフ王の野蛮な狩り
 19世紀末、民俗学者が迷いこんだ館には、奇妙な人物が住んでいた。恐怖に満ちた物語を甘美な映像で描く、幻想映画の名作。109分。

● ピルクスの審問
 『惑星ソラリス』の原作者レムの「審問」の映画化。ピルクス率いる宇宙船のクルーの中に一人だけサイボーグが…。その目的は? 哲学的テーマを娯楽映画の文脈に織り込んだ、隠れた秀作。99分。

● エバンス博士の沈黙
 長寿の研究者エバンス博士の乗った飛行機が墜落した。生存者は8人。突然現れた異星人と交流が始まる。彼らの行方を追うKGBも暗躍し始め、物語は意外な方向へ…。奇想天外な発想の問題作。83分。

● ミスター・デザイナー
 美人モデルとデザイナーとの数奇な物語を幻想的に描く。脚本はソクーロフ作品が多い才人アラボフ。109分。