1999年の夏休み
● 1999年の夏休み
『ガメラ』シリーズ、『毎日が夏休み』の金子修介が、萩尾望都の「トーマの心臓」をもとに数年に渡って構想を練り、岸田理生の脚本を得て'88年に完成した本作は、日本映画離れした甘美な悪夢的世界を生み出して、多くの観客の心を捉えた。あれから11年。巡り来た世紀末の夏に、再び冷やかな風が、不確かなエロスが、閉ざされた時間が、スクリーンに解き放たれる。
白樺にかこまれた中学校寮。初夏、悠(宮島依里)という少年が湖に投身自殺した。悠の親友だった和彦(大寳智子)、直人(中野みゆき)、則夫(深津絵里)は、夏休みになっても帰省せず、3人だけで寮に残っていた。そこへ悠そっくりの少年が現われる…。
4人の少年役に10代の新人女優を配した奇抜なアイディアのみならず、高間賢治の撮影、中村由利子の音楽などが一体となって、見る者を不思議な非現実へと誘う、夢幻の90分。
監督 金子修介
出演 宮島依里、大寳智子、中野みゆき、深津絵里 他
撮影 高間賢治
脚本 岸田理生
原作 萩尾望都
照明 安河内央之
録音 神保小四郎
美術 山口修
編集 冨田功
音楽 中村由利子
88年 90分
【カラー】