マイ・ネーム・イズ・ジョー My Name is Joe


● マイ・ネーム・イズ・ジョー My Name is Joe
 '67年『夜空に星があるように』で劇映画デビューして以来、ほとんどの作品でイギリス労働者階級の日常を背景に、社会の問題と対峙する主人公の人間ドラマを描き、世界的に高い評価と尊敬を集めてきたケン・ローチ。ラディカルな厳しい視線とユーモアに裏打ちされた温かいまなざしで、真にヒューマニズムあふれる作品を発表してきた彼の最新作は、壮大なスケールで作られた前二作(『大地と自由』『カルラの歌』)から再びイギリスの小都市に舞台を移した、リアリティ溢れる一編だ。
 主人公ジョー(ピーター・ミュラン)は37歳。やっとの思いでアルコール依存症を克服し、断酒を続けている。失業中ながらグラスゴー最低を自認する迷サッカーチームの監督として、のびのびとエネルギッシュに生きていた。ある日、ジョーはソーシャル・ワーカーのセーラ(ルイーズ・グッドール)という女性に出会う。初めは反発し合っていたが、やがて2人の間にほのかな気持ちが通い始める。しかし甥のリーアムが抱えるトラブルに巻きこまれたジョーは、街の顔役でかつての悪友マガウアンからヤバイ申し出を受け、危険な仕事をせざるをえなくなってしまう……。
 P・ミュランは本作でカンヌ映画祭主演男優賞を、審査委員長M・スコセッシ以下全員一致の推挙で受賞。彼を核にしたキャストのアンサンブルも、ストーリーの大切なモチーフとなるベートーヴェンの協奏曲とともに映画の味わいを深めている。

監督 ケン・ローチ
出演 ピーター・ミュラン、ルイーズ・グッドール 他
脚本 ポール・ラヴァッティ
撮影 バリー・エイクロイド
音楽 ジョージ・フェントン
98年 104分 カラー


 本作の公開を記念してK・ローチの代表作2本を上映します。
● ケスKes
 ハヤブサを飼う少年を主人公に、彼の生活と環境をリリカルかつ痛烈に描き出した傑作。112分。
 詳しい解説はこちら  http://www.spice.or.jp/~cineaste/l/879.htm
● リフ・ラフ Riff Raff
 ロバート・カーライルを主演に、英国労働者階級の恋人達を描いた作品。94分。