セレブレーション〈ドグマ#1〉 Festen


● セレブレーション Festen
 『奇跡の海』で知られるラース・フォン・トリアーを中心に95年デンマークで結成された監督集団〈ドグマ95〉。映画が本来の可能性を見失いつつある現在、あえて方法上の制約を課すこと(例えば、すべてロケーションで撮影する、人工照明は禁止など)で、逆に映画の力を再発見しようと企図した同グループの第一弾がこの『セレブレーション』だ。
 ある大富豪の還暦を祝うパーティが始まろうとしている。子供たちや多くの親類、友人が主人への祝福と敬意を持って次々と邸宅を訪れる。しかし、富豪の息子クリスチャンだけは、この場で父の罪を暴き、家族との関係を清算しようと決意していた。この家には、近親相姦、娘の自殺など秘められた過去があったのだ。クリスチャンの意図に気づき阻止しようとする者、あるいは協力する者、そして愛さえも支配しようとする父。祝宴は次第に各人の心の闇を照らし出していく……。
 監督は当時29歳のトマス・ヴィンターベア。映画の危機を打破する〈ドグマ95〉の冒険を体現した彼に、98年のカンヌは審査員賞を贈った。波乱を呼ぶ106分。

監督・脚本 トマス・ヴィンターベア
出演 ヘニング・モリツェン、ペレ・ドレリス、パプリカ・ステーン、トマス・ポー・ラーセン 他
脚本 モーウンス・ルコー
撮影 アンソニー・ダッド・マントル
録音 モーテン・ホルム
編集 ヴァルディス・オスカー・スドゥティル
98年 106分