『あの娘と自転車に乗って』


● あの娘と自転車に乗って
 中央アジアのキルギスタンから、一人の少年の心の揺 れを描いたみずみずしい傑作がやって来た。俊英アクタン・アブディカリコフの長編 デビュー作である本作は、ソ連から独立したキルギスの初めての長編映画でもあり、 ロカルノ映画祭銀豹賞をはじめ各国で高い評価を得た。
 少年ベシュケンピールは、自分が養子であることを知らずに育った。仲間たちと遊 びに夢中になる一方で、女の子にも興味を持つ年頃だ。近くに住む少女アイヌーラは いつも気になる存在だが、2人の親し気な様子に嫉妬した友人が、出生の秘密を暴露 してしまう。動揺したベシュケンピールは大好きな祖母に尋ねるが……。
 「キルギスはまだ不安定だが未来には希望がある。この映画もそのひとつのシンボ ル」と監督は語っている。微妙なトーンの撮影も素晴らしい、心洗われる81分。

監督・脚本 アクタン・アブディカリコフ
脚本 アヴタンディル・アディクロフ、マラト・サルル
出演 ミルラン・アブディカリコフ、アルビナ・イマスメワ、アディール・アブリカシモフ 他
撮影 ハッサン・キディリアレフ
98年 81分 カラー