『グレン・グールド 27歳の記憶』


●グレン・グールド 27歳の記憶 Glenn Gould Off the Record / On the Record
 今世紀の最も優れた音楽家のひとりとして知られるピアニスト、グレン・グールド の若き日を捉えたドキュメンタリー・フィルムをお届けします。32歳で一切のコン サート活動を停止し、レコードへの録音のみに専念した不世出の名演奏家グールド の、奇行を繰り返したコンサート嫌いの変人と言う世評からは想像できないほどにさ わやかな27歳の素顔がここにあります。ニューヨークのスタインウェイの店内でタッ チを確かめながらピアノを選ぶグールド。カナダの別荘でお気に入りの古いピアノで 無心にバッハのパルティータ第2番を練習するグールド。熱望していた作曲という仕 事への情熱と悩みを語るグールド。あるいはタクシーの運転手と軽い冗談を交わす グールド。繊細で端正な横顔の青年の快活な笑顔が、猫背でマフラーを首に巻きつけ た神経質そうな晩年の肖像をゆっくりと溶かしていきます。グールドの演奏に初めて 触れる人には飛び切りの入門編になると同時に、数々の録音にも残されている彼の演 奏中のハミングや歌声も、まさにその歌っている姿が映し出され、レコード化されて いない楽曲(ドビュッシーなど)の断片を聞ける点でもファンには大きなプレゼントと なることは間違いありません。

監督 ロマン・クロイター
出演 グレン・グールド 他
撮影 ウルフ・ケニッグ
録音 マイケル・ベライエフ、フレッド・アンダース、ロン・アレクサンダー
編集 ジェイムス・ベヴァリッジ
59年 58分


【モノクロ】