『白THE WHITE』『由美香』『流れ者図鑑』 ROAD SHOW


 静寂と狂暴さを兼ね備え、かつて自主映画界で一世を風靡し、その後アダルトヴィ デオ監督として過激な才能を遺憾なく発揮した平野勝之がスクリーンに帰ってきた。 当館への平野監督作品の登場は90年の自主FESで上映した『雷魚』以来10年ぶり。北 海道自転車三部作のフィナーレを飾る『白 THE WHITE』公開を記念して、第1作の 『由美香』(140分)、第2作の『流れ者図鑑』(105分)もあわせて公開いたしま す。(いずれも名古屋劇場初公開)
● 白 THE WHITE
 厳寒の北海道のアイスバーンをたったひとり自転車で走る男がい る。カメラは彼とともに走り、その姿をひたすら追いつづける。氷点下20度をさらに 下回り、ビデオカメラさえも凍りつく、過酷というにはあまりにも過酷な条件の下、 旅は続く。ペダルを踏み続けるのは平野勝之、それを撮影したのも彼自身。美しすぎ る構図が、その撮影形態に疑いを持たせずにはおかないが、スタッフはゼロ、同行者 もゼロ。この作品だけが浜松から東京・東北を経て北海道を縦断する過激なひとり旅 を証明し、観客はそのすべてを目撃できる。99年山形国際ドキュメンタリー映画祭 NETPAC賞受賞。

監督・脚本・出演 平野勝之
99年 118分