『アナとオットー』ROAD SHOW


●アナとオットー ANA+OTTO
 お互いを見た瞬間、心惹かれあったアナとオットー。 親同士の結婚で義理の兄妹になった2人が、一度は離ればなれになりながらも強く求 めあい、わずかな消息を頼りに母国スペインからフィンランドの北極圏にまで旅をす る。この壮大かつスリリングな物語の作り手はフリオ・メデム。本作は彼の長編第4 作。2作め『赤いリス』がS・キューブリックに「重要で意味深く素晴らしい」と激 賞されたことからも、その才気が知られよう。スペインから生まれた新世代の大器で ある。
 2人の出会いは8歳のとき。アナの父が死んだ日のことだった。アナはオットーを父 の遣いと信じ、苦しみを乗り越えていく。やがてアナの母とオットーの父が再婚、2 人は一緒に暮らすことになり、真に愛を自覚し始める。だがオットーの実母の死を契 機に2人は別々の道を歩み出して……。絶妙な作劇、魅力的な各キャスト、スペイン の温かな光と北極圏の透んだ光を生かした撮影。それらが紡ぎ出す、愛を貫く2人の 姿が限りなく美しい。108分。

監督・脚本 フリオ・メデム
出演 ナイワ・ニムリ、フェレ・マルティネス
撮影 カロ・F・ベッリーディ
音楽 アルベルト・イグレシアス
編集 アイヴァン・アレド
美術 サツール・アイダレッダ
98年 112分