『差出人のない手紙』MORNING & LATE ROAD SHOW


● 差出人のない手紙 Sin Remitente
 初長編作『ベンハミンの女』('91年)で新し いメキシコ映画の息吹を感じさせたカルロス・カレラ(1962〜)の傑作。愛の複雑な 様相を希求し、人間の逞しさと滑稽さを表裏一体で描きつくしてゆく手腕を高く評価 され、世界の埋もれた傑作に光をあてるナント三大陸映画祭でグランプリを受賞し た。アンドレスを演じるフェルナンド・トレ・ラファムはメキシコ演劇界のマエスト ロにして映画出演も20作を越えるベテラン俳優。マリアナ役のティアレ・スカンダ は、美貌に秘められた屈折した感情で、孤独な人々のうえに降りそそぐ大都市メキシ コシティーの雨期をみごとに塗りこめてゆく。
 古いアパートに大勢の友人を集め騒ぐマリアナ。階下の年老いたアンドレスの苦情 は無視される。そんなある日、突然アンドレスのもとに無記名のラブレターが届き始 めた。捜索を依頼した探偵事務所は、差出人が娼婦テレサ(ルイサ・ウエルタス:メ キシコの名女優)だという偽りの報告をする… 95分。

監督 カルロス・カレラ
出演 フェルナンド・トレ・ラファム、ルイサ・ウェルタス、ティアレ・スカンダ、ルイス・フェリペ・トバル、ギジェルモ・ヒル、ジナ・モレット
脚本 イグナシオ・オルテス、シルビア・パステルナク
原案 パウラ・マルコビッチ
撮影 ハビエル・ペレス・グロベット
音楽 ファン・クリストバル・ペレス・グロベット
編集 シグフリド・バルハウ
美術 グロリア・カラスコ
1995年 95分