『カノン』ROAD SHOW&『カルネ』特別上映


●カノン Seul Contre Tous
 ショッキングな内容とエキセントリックな描写でフランス映画界のみならず全世界に衝撃を与えた『カルネ』Carne('91年、40分)公開から4年、世界が注目する中、ギャスパー・ノエ監督が次回作として作り上げた最新作『カノン』は、「『カルネ』のその後」だった。馬に恋した物言わぬ娘を守ろうと肉屋(馬肉専門)の男が過ちを犯す物語としての『カルネ』を超えて、『カノン』では、その男が『カルネ』が終わった後に、もしかしたら過ごしたかもしれない人生が描かれる。好むと好まざるとにかかわらず常に時間は未来へと流れ、選び取る可能性のある選択肢はめまぐるしく変わる。でも、結局のところいくつもの物事を一度に選ぶことは出来ないし、一度にひとつの事件しか起こりはしない。一旦は離れたパリに舞い戻り、屈辱をバネに怒りを胸に秘めて、モラルへの戦いを挑み、逸脱に逸脱を重ねながら歩きつづける肉屋の男は、めまぐるしく展開するイメージの中から何を選び取っていくのだろうか? 彼が選んだイメージはパリの下町にくっきりとした軌跡を描き、ギャスパー・ノエの鮮烈な手法とあいまって、喧騒と静寂の中に結実する。

監督・脚本・撮影・編集・製作 ギャスパー・ノエ
製作・編集 ルシール・アザリロヴィック
映像 ドミニク・コリン
出演 フィリップ・ナオン、ブランダン・ルノワール ほか

1998年 カラー 93分