『リュシアン 赤い小人』ROAD SHOW


●リュシアン 赤い小人Le Nain Rouge 『ぼくのバラ色の人生』『ロゼッタ』『八日目』など、数は少ないながら秀作が並ぶ近年のベルギー映画界から、またひとつ、飛び切りのプレゼントが届けられました。98年のカンヌ映画祭を皮切りに、世界中の50以上の映画祭で喝采を持って迎えられた秀作の登場です。ゴンクール賞受賞歴もある、現代フランスの代表的作家ミシェル・トゥルニエの寓意的な短編小説を下敷きに、異色の主人公は小人。法律事務所で勤勉に働いてきた彼が、ふとしたことから老いたオペラ歌手の愛人となり転落の人生を歩んだのち、サーカスの無垢な少女に癒される物語は、世界中で多くの共感の声を生みました。監督のイヴァン・ル・モワーヌは、映画館経営など様々な職歴を経てから映画学校で映画を学び、シナリオも含めて初の長編作品となりますが、フェリーニの『甘い生活』などで世界的に知られるアニタ・エクバーグが彼のシナリオを読んで、老オペラ歌手のオファーを快諾したのは、彼の才能への信頼の証といえるでしょう。

監督・脚本 イヴァン・ル・モワーヌ
出演 ジャン=イヴ・チュアル、アニタ・エクバーグ、ディナ・ゴージ、ミシェル・ペルロン 他
撮影 ダニー・イルセン
音楽 アレクセイ・シュリジン、ダニエル・プラント
美術 フィリップ・グラフ

1998年 カラー 102分