〈1134〉『クリミナル・ラヴァーズ』
「フランソワ・オゾン短編集」


●クリミナル・ラヴァーズ Les Amants Criminels 昨年、長編第一作『ホームドラマ』で衝撃の日本デビューを飾ったフランソワ・オゾン。毒のあるユーモア、カラフルな色彩に富んだ軽快な映像は、本作でいっそう研ぎ澄まされ、さらなる高みに達している。
 高校生のカップル、アリスとリュック。自らの性的未熟さを押し隠すようにゲーム感覚でSMのプレイに興じる2人は、アリスに言い寄った美貌の同級生サイードを、やはりゲームのように刺殺してしまう。森の中に死体を埋めに行った2人は、そこで一軒の家を見つけ忍び込む。しかし、家の主人に捕えられ、奇妙な監禁生活を送ることに……。三面記事的現実感とグリム童話が溶けあったような世界の中で、主演の2人(ナターシャ・レニエ、ジェレミー・レニエ)のはかない美しさが光り輝く。鮮烈な95分。

監督 フランソワ・オゾン
出演 ナターシャ・レニエ、ジェレミー・レニエ

1999年 カラー 95分

○短編集 長編『ホームドラマ』以前から秀れた中・短編を連発し“短編王”の異名をとっていたオゾン。セックスと家族の現在形をテーマにした3本の未公開傑作を一挙上映。
 ●アクション、ヴェリテ Action,Verite
 ●小さな死 La Petite Morte
 ●ベッドタイム・ストーリーズ Scenes de Lit 計56分。