〈1139〉『パパってなに?』


●パパってなに? Bop サーニャ(幼少期:ミーシャ・フィリプチク)は父親を知らないが、いつも見守られているような幻影を抱いて、若く美しい母(エカテリーナ・レドニコワ)と定まらない生活を送っている。当てもなく乗った列車で、二人は魅力的な将校トーリャ(ウラジミール・マシコフ)と出会い、母はたちまち恋に堕ちた。幸せな三人の生活が始まり、トーリャはどこでもその魅力で周囲の人々をひきつける。サーニャは、次第に父親の幻影から放たれ、トーリャへと心を開いてゆくが……。  陽気で強くて、でもどこか不道徳な匂いのする男と少年の、別れから再会に至る後半の鮮烈な印象が忘れがたい秀作。大戦後のスターリン時代に厳しい政治厳粛とは無縁に生きる庶民の生活も巧緻に再現されている。監督パーヴェルの父は、『誓いの休暇』の名匠グリゴリー・チュフライである。97分。

監督・脚本 パーヴェル・チュフライ
出演 ウラジミール・マシコフ エカテリーナ・レドニコワ ミーシャ・フィリプチク
撮影 ウラジミール・クリモフ
編集 マリーナ・ドボリャンスカヤ
衣装 ナタリア・モネーヴァ

1997年 カラー 97分