〈1156〉『サディスティック&マゾヒスティック』
 &日活ロマンポルノ30周年特集


●サディスティック&マゾヒスティック 『リング』の大ヒットで一躍日本映画の第一線に踊り出た中田秀夫。彼の映画の出発点は日活ロマンポルノの助監督だった。中でも小沼勝の『箱の中の女 処女いけにえ』('85年)の現場経験には、衝撃を受けたという。普段は陽気で気さくな小沼が、現場では情け容赦なく女優とスタッフをサディスティックに追いつめる。その豹変ぶりにうちのめされた中田は、15年の時を経て再び小沼と向き合い、小沼が築いた官能と耽美の世界にせまるドキュメンタリーを完成させた。名場面を挿入しつつ、片桐夕子、風祭ゆき、谷ナオミらが語り、中田自身が小沼に、“ロマンポルノとは何か”を問う。かつて心奪われたファンも、ロマンポルノ初心者も必見の、濃密な91分だ。
○日活ロマンポルノ30周年記念特集 『S&M』公開を祝い、ロマンポルノの傑作・名作を一挙に大放出!まずは小沼勝。田中陽造の脚本と谷ナオミの肉体を得、映画的ダイナミズムとSMを融合させた古典『花と蛇』(74分)、『生贄夫人』(71分)。独得な色彩感覚が冴えわたる『OL官能日記 あァ!私の中で』(72分)、邪悪なまでに美しい『夢野久作の少女地獄』(92分)。“ポルノ的イメージがその極的の夢魔的イメージに変貌し、ある種の荒唐無稽なポエジーにまで昇華していく”と山田宏一が絶讃した、風祭ゆき主演作『妻たちの性体験 夫の眼の前で、今…』(69分)、そして超問題作『箱の中の女 処女いけにえ』(82分)。エース神代辰巳は、片桐夕子、芹明香らの共演が楽しい『濡れた欲情 特出し21人』(77分)、ロマンポルノの代名詞といえる傑作で宮下順子の魅力が光り輝く『四畳半襖の裏張り しのび肌』(72分)と『赫い髪の女』(73分)。やはりロマンポルノを代表する田中登が、大島渚に先駆け阿部定を題材にした最高傑作『実録阿部定』(76分)。日活時代の鈴木清順を助監督として支え、『嗚呼!花の応援団』など一般映画でもアナーキーな魅力を発揮した曾根中生の破天荒な快作『女郎市場』(70分)、石井隆原作・脚本の「名美シリーズ」の頂点で、水原ゆう紀主演の『天使のはらわた 赤い教室』(79分)。相米慎二唯一のロマンポルノ『ラブホテル』(88分)。そして滝田洋二郎のコメディセンスが爆発した『桃色身体検査』(63分)。以上全14本。もう見るしかないでしょう!!