〈1172〉『イディオッツ』ROAD SHOW
●イディオッツ The Idiots 『エレメント・オブ・クライム』でヨーロッパのカルト映像作家として鮮烈なデビューを遂げ、『奇跡の海』『ダンサー・イン・ザ・ダーク』など、人間の本質という壮大な問いかけに取り組んできたデンマークの映画作家ラース・フォン・トリアー。'95年、既成の見え透いた物語展開へのアンチテーゼとしてプロジェクト「ドグマ95」を立ち上げ、『セレブレーション』『ミフネ』『ジュリアン』を送りだした。「ドグマ」の戒律をあえて侵して選択したデジタル映像が削りだす生々しい感情の痛みの果てに、観客を観る前とは全く異なる世界観へ誘うこの作品は、トリアーと「ドグマ」がめざした頂点ともいえる傑作だ。
豊かな人々が楽しむレストランに場違いな席が二つある。知的障害者たちと、たった独りのカレンだ。そこでのいざこざからカレンは、知的障害を装い、社会の偽善を暴くグループが占拠する屋敷に思いがけず同居を始める。やがて奇行・愚行の体験を重ねるうち、彼ら自身が騙された人々以上に傷ついてゆく…。117分。
監督・脚本 ラース・フォン・トリアー
撮影 ラース・フォン・トリアー、クリストファー・ニュホルム、イェスパー・ヤーギル、カスパー・ホルム
音楽 キム・クリステンセン
録音 ベア・ストライト
編集 モリー・ステーンスゴー
出演 ボディル・ヨアンセン、イェンス・アルビヌス、アンヌ・ルイーゼ・ハシング ほか
1998年 117分
【カラー】