〈1188〉『ハロー ヘミングウェイ』MORNING ROAD SHOW


●ハロー ヘミングウェイ Hello Hemingway スクリーン上映や更に勝るケーブル・テレビ放映作品数のなか、まだ全てが届ききってはいないと実感させてくれる傑作がキューバからやってきた。  監督フェルナンド・ペレス(1944〜)は、’95年ベルリン国際映画祭で『Madagascar』がカリガリ賞を受賞。受賞作同様に、キューバの劇的な時代に生きる小さな人々(少女たち)の心象風景をダイナミックな空間の中に描いた本作品は、旧作品ながら、ハバナをこよなく愛したアメリカ人ヘミングウェイの偶像めくイメージと人生に漕ぎだしたばかりのラテンアメリカの少女を、厳しくもどこか開放的に織り込んだ、文学を凌ぐフィクションである。  時代は遡ってキューバ革命前夜、ハバナの貧しい大家族で育ったラリータ(ラウラ・デ・ラ・ウス)は、裕福な学友たちが学園紛争に傾倒するなか、アメリカ留学の奨学生に推薦される。家族の隣には文豪ヘミングウェイの大邸宅があり、めったに姿をみせないが、彼はラリータの前途への心の支えでもある。男友達の伯父の美しい古書店で「老人と海」を借りて読み始めた頃から、彼女の輝かしい日々に少しずつ変化が訪れてくる……。85分。

監督 フェルナンド・ペレス
脚本 マイダ・ロイェロ
撮影 フリオ・ヴァルデス
音楽 エディシオ・アレハンドロ
編集 ホルヘ・アベリョ
出演 ラウラ・デ・ラ・ウス、ウル・バス、エルミニア・サンチェス、ホセ・アントニオ・ロドリゲス ほか

1990年 90分


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