〈1189〉サトウトシキ傑作選
○サトウトシキ 1961年福島県生まれ。日活芸術学院在学中、ピンク映画にスタッフとして参加。助監督を経て、’89年『獣─けだもの─』でデビュー。同世代の瀬々敬久らとともに“ピンク四天王”と呼ばれ、業界からはパージされるも、映画ファンの熱い支持を得る。その後もコンスタントに質の高い作品を発表。昨年開催されたピンク映画の頂点を決めるイベント、P-1 GRAND PRIXでは、見事初代チャンプとなった。
●愛欲温泉 美肌のぬめり 山間の温泉宿の仲居に雇われた桐子(葉月 螢)。真面目で美しい彼女に宿の主人も心惹かれるが、泊まり客の刑事が桐子の顔に見覚えがあったことから、事態は思わぬ方向に……。
桐子の歌うオリジナルテーマソングが不思議な魅力を放ち、ユーモアと殺気が交錯する、’99年「映画秘宝」誌ピンク部門ベスト1選出の傑作。68分。
●青空 麻薬所持で警察から追われる身となった順一。彼には久美子(横浜ゆき)という恋人がいたが、自分を警察へ売ったのは彼女かもしれなかった。久し振りに再会した2人を待っていたものは……。
見慣れた風景が一瞬にして非日常と化すサトウトシキならではの鮮烈なタッチが存分に発揮された快作。65分。(劇場公開題=果てしない欲情 もえさせて!)
●迷い猫 とある喫茶店。桂子(長曽我部蓉子)が、雑誌記者(平泉 成)に自分の起した事件の顛末を語っている……夫との平凡な生活、街で出会った男との情事、やがて起こる殺戮……。
桂子と記者の対話を通し、物語ることと真実の間の距離をあぶり出し、冷たく不敵な態度を貫く桂子の心の奥底を照らした傑作のひとつ。ヒロイン長曽我部の好演に加え、小劇場演劇界の実力者・寺十 悟の出演も見逃せない。70分。
●団地妻 隣のあえぎ 幸子(中川真緒)は腰を痛めた夫から相手にされず、同じ団地の男・勝男(田尻裕司)と空き部屋で逢い引きを重ねるようになる。勝男はその部屋から自室の妻(佐々木ユメカ)の様子をうかがっていた……。
脚本に今岡信治、出演に田尻裕司を迎え、新境地に挑んだ、期待の最新作。69分。
2001年8月18日(土) サトウトシキ監督、伊藤猛さん来館。上映前に舞台挨拶あり。
【カラー】