〈1190〉『ベレジーナ』ROAD SHOW


●ベレジーナ Beresina oder Die Letzten Tage der Schweiz 『ラ・パロマ』『ヘカテ』などのフィクションは言うに及ばず、『トスカの接吻』などのドキュメンタリーでも、つねに耽美に満ちた幻想をくりひろげ、見る者を酔わせ続けてきた巨匠ダニエル・シュミット。その4年ぶりの最新作は、彼の祖国スイスを舞台に、ルイス・ブニュエルも真っ青のブラックユーモアを発揮した、シニカルで背徳的なコメディだ。  ロシアから憧れの国スイスにやって来たイリーナ(エレナ・パノーヴァ)。彼女は、政財界にコールガールを派遣するシャルロッテ・デー(ジェラルディン・チャップリン)のもとで、銀行の頭取、テレビ局の報道局長はじめ多くの権力者たちをとりこにしていた。中でも、昔ながらの反共主義者の元陸軍少尉は、彼女を相手に“ベレジーナ遊び”に興じることが大のお気に入りだ。“ベレジーナ”とは、彼が数十年前に結成した愛国の秘密組織コブラで使われていた暗号だった……。  撮影は名手レナート・ベルタ。素晴らしい美術とあいまって、作品のスケールとリアリティを一段と高めている。108分。

監督 ダニエル・シュミット
撮影 レナート・ベルタ
出演 エレナ・パノーヴァ、ジェラルディン・チャップリン ほか

1999年 98分


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