〈1195〉『ユマニテ』『ジーザスの日々』ROAD SHOW


●ジーザスの日々 La Vie de Jesus 97年のカンヌ映画祭でのカメラドール特別賞(新人賞)を皮切りに、フランスでもっとも有望な新人に贈られるジャン・ヴィゴ賞を受賞、アヴィニョンやシカゴでの国際映画祭でも高く評価されたブリュノ・デュモンの長編デビュ−作。無軌道な若者の怠惰で暴力的な日常をありのままに捉える作風が、バイクの暴走も、冷徹な暴力も、恋人とのセックスも、友人への心づかいも、飼っている小鳥への愛着もまるごと抱え込んで、容赦なく現実と映画を対峙させます。96分。
●ユマニテ L' humanite 前作のインパクト以上の期待にたがわぬ傑作として99年のカンヌ映画祭で審査員グランプリ、最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞の三賞を見事獲得した作品。
 ある日起きた少女強姦殺人事件。主人公は、刑事らしからぬナイーブな男、ファラオン。家庭菜園を愛する彼は、陰惨な事件への悲しみを、そして犯人の心の傷までも、痛々しいほどに一身に引き受けます。すべての事態を黙って受け入れる彼の姿が崇高に見えるのは、慎ましく、そしてときに荒々しく、映画の新たな魅力を紡ぎ出し、息づかいまでもフィルムに写し取った繊細かつ透明感あふれる描写力のためかもしれません。「ユマニテ」=「人間性」というタイトルにふさわしい重量級の傑作。148分。


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