〈1202〉『焼け石に水』ROAD SHOW


●焼け石に水 Gouttes d'eau sur pierres bruantes フランス映画新世代のまさにトップを独走中の、フランソワ・オゾン。アブノーマルでバッドテイストという異色性が持ち味の彼が、長編3作目の原作に選んだのは、R・W・ファスビンダーの戯曲。ゲイセクシャリティを先駆的に表現し、様々なタブーに踏みこみ36歳で急死したドイツの異端児が、19歳の若さで書いたまま自ら封印した未発表作だ。エゴイスティックな欲望、そして苦しみながらも愛に隷属してしまう孤独の悲劇。その徹底的に描かれた、笑えるほどに意地悪で、美しいほどに痛ましい愛の心理を、オゾンらしいファッショナブルでキッチュな映像で仕上げた、恋愛悲/喜劇の快作だ。レオポルドの性の虜となるフランツ、フランツの元GFで彼を取り戻すつもりがレオに夢中になるアナ、レオへの愛から性転換してしまうヴェラ(『ファストフード・ファストウーマン』のアンナ・トムソン)、そしてみんなを愛の奴隷にするエゴイスト、レオポルド。4人が緊張を一気に発散するかのように踊るサンバダンスは最高。みなさんもステップを覚えて、恋人や愛人と、ぜひお部屋で一緒に踊って楽しんでください。

監督・脚本 フランソワ・オゾン
原作 ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
出演 ベルナール・ジロドー、マリック・ジディ ほか

2000年 86分


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