〈1206〉『ラッチョ・ドローム』ROAD SHOW


●ラッチョ・ドローム Latcho Drom 新作『ベンゴ』も話題となり、今世界中から注目されているトニー・ガトリフ監督。当作品は彼が自らのルーツであるロマ(ジプシー)をテーマにした、“ジプシー3部作”の1作目だ。ロマたちはインドを出発点にひたすら西へと移動し、ベリーダンスやフラメンコを産み出したと言われ、彼ら自身もその土地ごとの楽器や歌唱法を取り入れて、融合していった。この映画はその千年の流浪を一連の出来事のように描く。景色はインドの乾いた砂漠から、陽光柔らかいトルコの港町になり、凍てつく雪原のスロヴァキアを経て、スペインでは住み慣れた町を追われ、移された高層共同住宅を丘から眺める。その間も彼らは情熱的に楽器を演奏し、絶唱をし、まさに映像と音楽で千年の歴史を描く一大叙事詩となっている。各土地のシークエンスに登場するミュージシャンは、日本公演も大盛況を収めたタラフ・ドゥ・ハイドゥークスをはじめ、強烈なアーティストばかり。まるで音楽で出来た宝石のような、必見必聴の103分。
●ガッジョ・ディーロ Gadjo Dilo 幻の歌姫のテープを頼りにパリからルーマニアへ放浪する青年(ロマン・デュリス)。世界の観客を虜にした、ロマの魂に触れるガトリフの傑作。100分。


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