〈1217〉『オテサーネク―妄想の子供―』ROAD SHOW


●オテサーネク ─妄想の子供─ otesanek チェコのアートアニメーション作家で、日本でも絶大な人気を誇るヤン・シュヴァンクマイエルの最新長編がいよいよ公開! 今回テーマに選ばれた“オテサーネク”とはチェコの民話で、子供のない夫婦が赤ん坊に似た木の切り株を子供として育てると、その子・オテサーネクは凄まじい食欲から村人や両親を食べてしまうという、恐ろしくてシンボリックな物語。本作はこの寓話を現代の都会に移し変え、賢く残酷な愛情を持った少女の視点から、ブラックユーモアと悪夢的イマジネーションに満ちた映像で描く。独特のほとんどホラーなたくさんの根が蠢く赤ん坊の形の切り株や、繰り返されるグロテスクで楽しい料理の数々、そしてなんともシュヴァンクマイエルらしい、ムッとした表情が蠱惑的な少女など、一度観たら病みつきになってしまうシュールなイメージ溢れる作品だ。
 ホラーク夫妻には子供がなく、夫人は情緒不安定気味で、アパートの隣室に住む少女を羨ましそうに見つめる日々。ある日夫は気晴らしに出かけた山小屋で、妻に軽い気持ちで赤ん坊に似た切り株を見せるが、妻はそれを我が子のように溺愛する異常な態度をとる。そしてアパートに連れて帰られた切り株は、とうとう本当に生命を持つと同時に、壮絶な食欲を見せ始めた…。132分。

監督・脚本・原案 ヤン・シュヴァンクマイエル
美術監督 エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァ- ヤン・シュヴァンクマイエル
アニメーション ベドジフ・グラセル、マルティン・クブラーク
編集 マリエ・ゼヴァノヴァー
音響 イヴォ・シュヴァリィー
撮影 ユライ・ガルヴァーネク
出演 ヴェロニカ・ジルコヴァー、ヤン・ハルテゥル ほか

2000年 132分


【カラー】