〈1219〉ロシア映画ベストセレクション Part 1〈5作品〉


 『フルスタリョフ、車を!』や『フリークスも人間も』など、突出した表現芸術を輩出する恐るべき映画国ロシアから、新旧の傑作を選んだ新シリーズ。第2弾はタルコフスキー特集を予定。
●ロシアン・ブラザー 『フリークスも…』の鬼才アレクセイ・バラバノフが、肌あいの異なる作風で興行ベストワンを記録した(パート2も既公開!)、海外でも高評価を得た逸品。
 兵役を終え帰郷した青年がマフィアの暗殺者への道を選択せざるをえない、ロシアの閉塞した現状を描き、若い観客の圧倒的支持を受けた。主演は『コーカサスの虜』に出演後、ロシアで人気ナンバー1の俳優、セルゲイ・ボドロフ・ジュニア。95分。
●火を噴く惑星 宇宙ドキュメンタリー撮影のキャリアを持つパーベル・クルシャンツェフの傑作SF映画。金星探索隊に襲いかかる巨大植物や恐竜、翼手竜の見事な造形や、宇宙船や探索車のたまらない設計に今もマニアは、涙、涙。泣かせるロボット“ジョン”は「AIBO」よりカワイイぞ!83分。
●宇宙飛行 '35年作、世界初の科学的宇宙映画(『アエリータ』や『月世界の女』が撮られているけどネ)、製作顧問にソ連最高の宇宙物理学者ツィオルコフスキーを迎えた本格派SF。'46年、人類初の有人月旅行が計画された…。70分。
セリック・アプリモフ特集(2作品)
●アクスアット カザフスタンの片隅にある遊牧民の村アクスアットでは、社会変化にも影響されず、人々はウォッカを飲み、核実験を見物する日々だ。そこへ都会から妊娠したユダヤ人女性をつれた男が戻ってくる。男は兄への借金のかたに女性を残してゆき、兄は女性のめんどうをみることになったが…。冷徹にとらえた現実を奇妙なユーモアで描く、カザフスタンの新鋭アプリモフ(1960〜)の代表作。ナント、ベルリンなど国際映画祭で絶賛された。94分。
●3人兄弟 雄大な中央アジアに不似合いな核実験場や軍事演習場で無邪気に遊ぶ少年たちと、演習標的に集められた機関車を管理する孤独な老人との触れ合いを描く。思春期を迎えた少年たちは、やがて危険な悪戯に夢中になってゆく…。ナント、東京ほか国際映画祭で多数の受賞を得た傑作。80分。