〈1236〉『恋ごころ』ROAD SHOW
●恋ごころ Va Savoir スクリーンを至福の時間で満たすヌーヴェルヴァーグの名匠ジャック・リヴェット(1928〜)の新作です。
緑濃い夏のパリへ、3年ぶりに戻ってきたカミーユ(ジャンヌ・バリバール)はピランデッロの戯曲「未知の女」の公演を巡業するイタリアの劇団の主演女優ですが、恋人である俳優・座長のウーゴ(セルジオ・カステリット)にも舞台にもうちこめず不安にとらわれています。そう、ここパリは、3年前に別れた変わり者の哲学者ピエール(ジャック・ボナフェ)の住む街なのです。思い余ってピエールを尋ねると、予測はしていたけれど、謎めいた魅力の恋人ソニア(マリアンヌ・バスレール)がいて、にもかかわらず別れた二人は愚かさを承知で再会をとげたのです。
一方ウーゴは公演の合間、17世紀にゴルドーニがパリで執筆した未発表の戯曲を探していました。図書館で出会った知的な美少女ドミニク(エレーヌ・ド・フージュロル)の手引きで、ある蔵書家のもとへたどりつきました……書物と舞台をめぐる、魔術師リヴェットの壮麗にして軽やかでどこかはらはらさせられる冒険の始まりです。今回もW・リュプチャンスキーの撮影がリヴェットの都市=パリの輪郭を眩しく描きだしています。155分。
監督・脚本 ジャック・リヴェット
共同脚本 パスカル・ボニゼール、クリスティーヌ・ローラン
撮影 ウィリアム・リュプチャンスキー
録音 フロリアン・エイデンベス
音楽 フォーレ、ペギー・リー
出演 ジャンヌ・バリバール、セルジオ・カステリット、ジャック・ボナフェ ほか
2001年 155分
【カラー】