〈1248〉『家 路』ROAD SHOW


●家路 Je rentre a la maison 93歳という年齢など全く感じさせない旺盛な製作意欲で、毎年のように最新作を生み出してきた、ポルトガルの誇る“現役最年長映画監督”マノエル・ド・オリヴェイラ。『世界の始まりへの旅』や『クレーヴの奥方』などの近年の秀作をさらに充実させた本作は、2001年のカンヌ映画祭で絶賛され、フランスでも初登場第10位のヒットとなった。名優ミシェル・ピコリの重厚な演技を、ジョン・マルコヴィッチ、カトリーヌ・ドヌーヴが脇で支え、奥行きのある映画に仕上がった。
 ヴァランス(ピコリ)は、舞台と映画を中心に自分が納得できる役柄を選んで活躍してきたベテラン俳優。ある日唐突な事故で最愛の妻と娘夫婦をなくし、幼い孫との静かな生活を始める。孫は賢くそして愛らしい。にぎやかではないにしても愛情に満ちた生活。しかし、マイペースなライフスタイルを満喫しながらも、ヴァランスは忍び寄る「老い」を少しずつ自覚する。エージェントが持ち込む、「彼に合った役柄」も彼の神経を逆撫でするばかりだ。そんなある日、彼のキャリアを尊重する映画監督(マルコヴィッチ)から、急なオファーが舞い込む。シェークスピアの戯曲を映画化するというものだ。実年齢よりもはるかに若い役柄を前に躊躇するヴァランスだが…。90分。

監督・脚本 マノエル・ド・オリヴェイラ
撮影 サビーヌ・ランスラン
出演 ミシェル・ピコリ、カトリーヌ・ドヌーブ、ジョン・マルコヴィッチ ほか

2001年 90分


【カラー】