〈1250〉『PRISM』LATE ROAD SHOW


●PRISM デジタルビデオの機動力と経済性を活かした、ホンモノのインディーズ・ムーヴィーが登場。監督の福島拓哉は学生時代を名古屋で過ごし、頻繁に上映の機会を作っていたのでご存知の方も多いかも。東京に拠点を移してからも監督作品多数。97年にはPFFに入賞するなど、各地の映画祭で受賞歴多数。初の本格長編となる『PRISM』は、あがた森魚、黒沢清、サエキけんぞう、園子温ほか、各界から賛辞を集め、先行上映となった昨年のシネマ下北沢でのレイトショーでは劇場の動員記録を作った。
 ドラッグ常習者でバイセクシャルの主人公は映写技師。ある日、試写を頼まれた恋愛映画のタイトルは『PRISM』。その映画の内部世界が彼の日常を侵食し、さらに脳裏に巣食う幼年期に読んだ童話までもが彼を混乱させる。3つのストーリーが絡み合う複雑な構造の物語がクールに編み上げられ、観る者は現実の境界上をたゆたう主人公の意識に同化する。作品そのものが多重人格的な相貌を持ち、微妙なバランスの上で逆立ちしているような100分。

監督・脚本 福島拓哉
撮影 石井城治
録音 高橋敏之
音楽 野崎良太(Jazztronik)、郡司崇
挿絵 富田典姫
出演 山下念吾、岩崎高広、周東君美 ほか

2001年 100分

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【カラー】