〈1254〉20周年企画 小川紳介特集〈11プログラム・12作品〉


青年の海―四人の通信教育生たち 通信教育制度改定反対闘争の中で、学ぶこと、働くことを改めて問い直す4人の通教生。その運動の行方と逡巡する心の軌跡をキャメラが追う。56分。
現認報告書―羽田闘争の記録 「権力との激突の際に、キャメラは決して警察権力と学生の間に横位置に居るべきではなかった」―小川。佐藤首相訪米阻止闘争の京大生死亡事件を追う。58分。
圧殺の森―高崎経済大学闘争の記録 “盗み撮り”を効果的に使った、60年代後半の学生叛乱の予兆に満ちた作品。小川はその後この手法とは訣別してゆく。撮影、大津幸四郎。105分。
日本解放戦線・三里塚の夏 新東京国際空港建設のために土地を強制収用する政府に対し、抵抗する農民を描いた三里塚シリーズ第1作。対象を全て正面から捕えた迫真のキャメラ。108分。
日本解放戦線・三里塚 離脱者が出る中、空港反対派農民に広がる疑問・空虚感。戦いは自己の内面へと向かう。撮影・田村正毅。小川紳介が一番愛着を持っていた作品でもある。141分。
三里塚・第二砦の人々 破壊されるバリケード小屋。自らを鎖で縛り後退を拒む農婦。地下壕の蝋燭の下、抵抗は続く。マンハイム映画祭スタンバーグ賞受賞。シリーズ中の核。143分。
三里塚・岩山に鉄塔が出来た 滑走路使用不能大作戦。反対同盟は滑走路南端にみるみる60mの大鉄塔を築いてゆく。胸が高鳴る三里塚版「プロジェクトX」だ。85分。
三里塚・辺田部落 “闘い”から“闘いの中の日常”へ、キャメラは農民の声を聞き撮りしてゆく。『古屋敷』『牧野』へ移行する分水嶺となったシリーズ第6作。146分。
三里塚・五月の空 里のかよい路 4年ぶりに三里塚へ“里帰り”。鉄塔は倒され、その上を五月の“赤風”が吹き過ぎる。依然続く闘争と共に、農地を荒らす自然現象をも追う。81分。
小川プロ訪問記 小川紳介vs大島渚 『ニッポン国古屋敷村』発表直前の小川プロを、大島渚が牧野に訪ねインタビューする貴重なフィルム。日本文化デザイン会議製作。50分。
ニッポン国古屋敷村 稲の凶作の原因を探るドキドキするような科学映画の前半から、村の古老たちが自分史をつい最近のことのように語る後半へ。ベルリン映画祭国際批評家賞受賞。210分。
1000年刻みの日時計―牧野村物語 稲の中に宇宙が広がり、様々な出土品は村の古層を現前させ、ドキュメンタリーとフイクションは一体となり溶け合う小川紳介の集大成的作品。出演、土方巽、宮下順子、田村高廣、石橋蓮司、河原崎長一郎、島田正吾。222分。


【カラー】