〈1258〉『ノー・マンズ・ランド』ROAD SHOW


●ノー・マンズ・ランド No Man's Land 2001年カンヌを皮切りに、ゴールデングローブ、セザール、アカデミーのグランドスラム(?)を達成、ロッテルダム、サン・セバスティアンなど数えきれぬ映画祭で観客賞を獲得した、まさに市民系映画の登場だ。
 1993年、ボスニア紛争のさ中、戦線の中間地帯“ノー・マンズ・ランド”の塹濠に、ボスニア軍小隊の唯一の生き残りと思われる兵士チキ(ブランコ・ジュリッチ)が逃げ込んだ。対するセルビア軍から生存者確認にきた新兵ニノ(レネ・ビトラヤツ)と古参兵は、塹濠のボスニア兵の死体にジャンプ型地雷を仕掛け、救援隊破壊を謀った。だが死体のツェラ(フィリプ・ショヴァゴヴィッチ)は気絶していただけ。隠れていたチキは冷酷な古参兵を殺し、地雷と向きあったまま、兵士たちの精神戦が始まる…。
 不可解な状況を放棄した両軍の基地が、国連軍に援護を求めたため、言葉や国際法や報道とのしがらみが事態を喜劇的に膠着させ、戦争のグローバリゼーションに囚われた兵士の喜劇をムチとユーモアをふるってあぶりだす。本作が長編デビューの監督ダニス・タノヴィッチは1969年ボスニア・ヘルツェゴヴィナ生。98分。

監督・脚本・音楽 ダニス・タノヴィッチ
出演 ブランコ・ジュリッチ、レネ・ビトラヤツ、カトリン・カートリッジ、サイモン・カロウ ほか

2001年 98分


【カラー】