〈1259〉『UN LOVED』LATE ROAD SHOW


●UN LOVED 同僚にも上司にも地味だといわれながら、自分のペースを守って生きている、役所勤めの影山光子(森口瑶子)。なんの野心もなく、高望みをせずに生きていくことを至上の幸せと感じる彼女の前に、全身から野心を発散させる若手実業家、勝野(仲村トオル)が現れる。光子の堅実な仕事ぶりに興味をもった勝野は、自分とは正反対の彼女にひかれていくが、高価な服も高級レストランでの食事にも興味をもてない光子は、募る違和感から勝野を突き放す。彼女の視線はいつしか、アパートの階下に住む冴えない青年、下川(松岡俊介)に向けられる。下川とともにある、ゆったりとした時間の中に、自分が自分らしくいられる場所を見つけた光子は、はじめて充足感に満たされるのだが・・・。  黒沢清の学生時代からの盟友にして、「恐るべき新人監督」万田邦敏、待望の初長編作品。まさに重厚な演出で、重厚なテーマを正面から描く、近年まれな恋愛映画。仲村トオルと松岡俊介は、対照的な生き方の人物像を、抑制と解放を使い分けて見事に演じ、テレビドラマでは目立たない脇役が多い森口瑶子が素晴らしい存在感を見せ、彼女の魅力的な一挙手一投足に目を奪われる。117分。

監督・脚本 万田邦敏
撮影 芦沢明子
脚本 万田珠美
照明 金沢正夫
録音 細井正次
美術 郡司英雄
編集 掛須秀一
音楽 川井憲次
出演 森口瑶子、仲村トオル、松岡俊介 ほか

2001年 117分


【カラー】