〈1268〉『アフガン・アルファベット』公開記念 マフマルバフ特集


●アフガン・アルファベット Afghan Alphabet イランを代表する映画監督モフセン・マフマルバフは、2001年10月、米軍によるアフガニスタン爆撃がエスカレートする中、かつて自作『カンダハール』をロケした地ザーヘダーンにいた。“教育”こそがこの国の未来を切り拓くものと確信した彼は、難民キャンプの子供たちの実状をカメラにおさめるため、このイランとアフガニスタンの国境の町を再び訪れたのだ。キャンプの粗末な教室で目を輝かせ学ぶ子供たちと、同じ難民でも身分証がなく教育を受けられない子供たち。ある女子教室では決してブルカを脱がない生徒に出会う。彼女は他人に素顔を見せると雷に打たれて死ぬと言い張るが、カメラは彼女にそうさせる本当の理由に迫っていく……。
 ドキュメンタリーという形式をとりながらも、マフマルバフの他の劇映画同様、抜群に見事な話法で構成され、彼の最も情感溢れる作品となった。46分。小品ながら鮮やかな切れ味の『風と共に散った学校』(8分)と、末娘のハナ・マフマルバフ監督作品『おばさんが病気になった日』(25分)を同時上映。
●サイクリスト The Cycl ist 全イラン人が見たとまで言われる、マフマルバフ80年代の代表作。病気の妻を抱えるアフガニスタン難民が、ある興業師の申し出を受け、一週間自転車に乗り続ける賭けに挑む。極度の疲労、睡眠不足と斗って彼が得たものとは… シンプルなストーリーを魅力的に膨らませるマフマルバフ・マジックが冴え渡った、必見の83分。
●カンダハール Kandahar アフガニスタンに住む妹からの手紙を受けとったナファスは、カンダハールを目指し、危険な旅に出るが…。世界的注目を浴びた85分。

『アフガン・アルファベット』に寄せられたコメント集


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