〈1270〉『ピンク・フロイド/ザ・ウォール』LATE ROAD SHOW
●ピンク・フロイド/ザ・ウォール Pink Floyd The Wall 伝説のロック・グループ、ピンク・フロイドの神話的な映像作品が、20年の歳月を経てよみがえった。イギリスを代表する映画監督、アラン・パーカーの幅広いキャリアの中でも異彩を放つ本作は、ピンク・フロイドの中心的存在だったロジャー・ウォーターズの原案を大胆に映像化したもので、大ヒットアルバム「ザ・ウォール」の世界観をさらに先鋭化させている。もともとピンク・フロイドのライブでは、様々な映像が取り入れられ、現在ではごく普通に観られるスタイルを先駆的に実験していた。主人公ピンク(ボブ・ゲルドフ熱演)は、ロック・スター。他人とうまくコミュニケーションをとれず社会的に順応できない彼の現実と妄想が、彼の心の中に形作られた巨大な壁をめぐって、奔流となったイメージで構成される。ストーリーを語る速度を凌駕する、アニメやイメージショットを駆使したスタイルは、80年代以降に一気に加速するMTV的な映像の登場を予感させる。95分。
監督 アラン・パーカー
脚本 ロジャー・ウォーターズ
撮影 ピーター・ビジウ
アニメーション ジェラルド・スカーフ
音楽 ピンク・フロイド
出演 ボブ・ゲルドフ、ボブ・ホスキンス、ジョアンヌ・ウォーリー、ジェニー・ライト ほか
1982年 95分
【カラー】