〈1271〉『ヴェルクマイスター・ハーモニー』ROAD SHOW
●ヴェルクマイスター・ハーモニー Werckmeister Harmony ハンガリーの荒涼とした田舎町に、ある日突然、移動サーカスと見せ物の巨大クジラが現われる。奇妙な緊張感が広がる中、時を同じくして“プリンス”と名乗る男が広場で演説を始める。煽られるように群がる住民たち。町の何かが歪みだした。理不尽な暴動と破壊。彼らは何者なのか、どこから来てどこへ行くのか…。
漆黒の闇のように美しいモノクロ映像、怪奇映画を思わせる不穏なムード、異常に流麗なカメラワークで映し出される壮絶なバイオレンス、そしてすべてを見つめている物悲し気なクジラの眼。
物語の因果律からはみ出しまくる映像の、しかし有無を言わさぬ力強さ、イマジネイティヴな飛躍力は他に類を見ない。監督は『サタンタンゴ』('94年)という7時間30分の大長編で世界を驚愕させたハンガリーの鬼才タル・ ベーラ。本作でもその型破りの映画作りは健在。J・ジャームッシュは「忘れられない、並外れて映画的な出来事」と激賞だ。出演ハンナ・シグラ。必見の145分。
監督 タル・ベーラ
原作・脚本 クラスナホルカイ・ラースロー
撮影 メドヴィジ・ガーボル
音楽 ヴィーグ・ミハーイ
出演 ラルス・ルドルフ、ぺーター・フィッツ、ハンナ・シグラ ほか
2000年 145分
【モノクロ】