〈1296〉『home』ROAD SHOW


●home 監督の小林貴裕は日本映画学校の学生だった。高校入学を機に上京して以来 、ほとんど足を向けなかった生家へと、カメラを片手に戻るところから、この 映画は始まる。7年前から、母と兄、そして離れに祖母が住むだけだ。父親は 小林とともにこの家を離れた。兄は7年間全く家から出ていない。いわゆる「 ひきこもり」の状態だ。崩壊した「家庭」を避けつづけてきた小林は、兄や母 に、そして自分自身にもカメラを向け、崩壊そのものと対峙することを決意す る。河瀬直美監督の初期作や、日本映画学校では小林の先輩にあたる村石雅也 監督の『ファザーレス/父なき時代』を筆頭に、近年の若手作家の多くが題材 としてきた自分自身の家族、そして家庭のありよう。カメラを手にすることに よって、初めて現実と向き合う心の動きが生々しく写し取られた諸作の中でも 、現実を変える力を持つという点で群を抜く『home』は、第1回世界学生映画祭では大賞受賞、ハワイ国際映画祭にも正式出品さ れるなど、高く評価されている。64分。

監督・企画・撮影 小林貴裕
構成・編集 本郷秀一
編集 岩崎康嗣
音楽 加藤昭衝
出演 小林博和、小林貴裕

2001年 64分


【カラー】