深作欣二リターンズ!〈全10作品・5プロ〉


 1月12日、深作欣二監督、逝去。その死を悼み、邦画史に燦然と輝く『仁義なき戦い』を含む、傑作選を特集いたします。
●資金源強奪 ヤクザ組織の賭場から、大金を奪った清元(北大路欣也)。しかし仲間の裏切りや、悪徳刑事(梅宮辰夫)や、金の行方を追う組織も絡んで、今、四つ巴の戦いが始まった…! ノリノリの豪華俳優陣と、二転三転するハイテンションな展開で、ラストまで一気に駆け抜ける、痛快アクションの傑作 92分。
●仁義なき戦い 実録やくざ映画の代表作であり、今なお若者の熱烈な支持を集めるシリーズの第1作。戦後の混沌の中、広能昌三(菅原文太)を軸に、山守組の暗殺と裏切りに満ちた、複雑な抗争が描かれる。99分。
○仁義なき戦い 広島死闘篇 村岡組の若者で、憑かれたように暗殺者として活躍する山中(北大路欣也)。しかし、村岡の姪(梶芽衣子)と恋に落ち、彼の人生は破滅へと加速する…。大友を演じる千葉真一の暴れっぷりは見事。激しい情念のにじむ100分。
○仁義なき戦い 代理戦争 シリーズ中でも最高傑作と推す人も多い、集団群像劇としてすぐれた一本。村岡組の跡目を巡り、山守組と打本組で抗争が勃発する。混沌を極めた組の相関図と展開は、映画の起承転結という概念を打ち砕くパワーに溢れている。俳優陣も小林旭を加え、顔が出揃ったにぎやかさ。103分。
●ジャコ萬と鉄 黒澤明と谷口千吉の脚本を、鉄に高倉健、ジャコ萬に丹波哲郎という絶妙のキャスティングで映画化。ニシン漁を営む網元の家に、行方知れずだった息子の鉄が舞い戻ってくる。そのころ、漁場では流れ者のジャコ萬が無法を働いていて…。オリジナル版をもしのぐ、爽快で勇壮な名作。100分。
●狼と豚と人間 貧民街で育った三兄弟(三國連太郎・高倉健・北大路欣也)。やくざの幹部、チンピラ、愚連隊となったそれぞれが、大金を巡って憎悪の末、骨肉相食む血みどろの戦いへとなだれ込む。後の『仁義〜』を髣髴とさせる、騙しあい、出し抜くことだけを考え、激しい内ゲバに向かう若者たちの姿は、深作作品の中でも最高の凄絶さ。すべては、ここから始まった。95分。
○仁義なき戦い 頂上作戦 明石組系打本会と、神和会系山守組が、血なまぐさい抗争を繰り広げる中、市民からは非難の声があがり、警察がやくざ組織壊滅に乗り出す。シリーズ中、もっともヴァイオレンスに彩られた作品。ラストの小林旭と菅原文太のやり取りは、忘れることのできない伝説的名場面。101分。
○仁義なき戦い 完結篇 前作で終結した抗争劇。しかし組織が政治結社・天政会と姿を変え、その二代目会長代理に若い松村(北大路欣也)が就任したため、再び不穏な空気が生まれる。問答無用の最終作、冒頭の天政会による男の大行進も必見!99分。
●暴走パニック 大激突 銀行強盗をした山中(渡瀬恒彦)。ストレスでキレた警官(川谷拓三)。殺人を犯し逃亡を図る青年。別々の場所で同時進行する彼らの物語が、車のクラッシュをきっかけに交錯し、未曾有の大カーチェイスに発展!驚愕(?)のエンドクレジットまでノンストップで暴走する、まさに血湧き肉踊る娯楽映画の決定版。お見逃しなく共演=杉本美樹。85分。
●やくざの墓場 くちなしの花 昨年12月に亡くなった、脚本家笠原和夫とのコンビ作品。在日朝鮮人やくざと、刑事との友情を描く。主演は深作作品で、堕ちていく男の美学をもっともふさわしく体現した渡哲也。大島渚の出演も話題。共演=梶芽衣子。99分。