〈1319〉『青の稲妻』ROAD SHOW


●青の稲妻 任逍遥 31歳の若さにしてベルリン、ヴェネツィア、カンヌの三大映画祭に正式出品し、いまや世界的に才能が評価される中国の新鋭、ジャ・ジャンクー(賈樟柯)。80年代を舞台に文化開放直前から直後にかけての、中国の若者の実像を描いた傑作『プラットホーム』に続いて世に問うのは、まさに21世紀初頭の中国内陸部にある地方都市に住む若者たちの青春群像だ。モンゴルに程近い大同の町に住む、19歳のシャオジイとビンビン。ちょっと年上のダンサー、チャオチャオにあこがれるシャオジイも、大学受験を控えた少女と付き合うビンビンも、理想と現実の間で揺れ動き、何をするにもぎこちないしぐさを繰り返すばかりだ。都会にあこがれながらも、生まれ育った小さな街を捨てきれないし、チャオチャオを通して垣間見たリアルな世界をしぶとく生きていく度胸もまだない。空回りする気持ちと行動は、どうしようもなく息苦しく、さらにぎこちない行動を繰り返すばかりだ。ジャ・ジャンクーはそのぎこちなさをそのままに写し取る。かつてエドワード・ヤンが『牡嶺街少年殺人事件』でそうしたように。
 原題にもなっている「任逍遥」は自由を歌う台湾の人気歌手リッチー・レンのヒットナンバーで、台湾よりもむしろ中国本土でヒットした曲とのこと。112分。

監督・脚本 ジャ・ジャンクー
撮影 ユー・リクァイ
編集 チャウ・キョン
出演 チャオ・タオ、チャオ・ウェイウェイ、ウー・チョン

2002年 112分


【カラー】