芸術映画の金字塔ともいうべき、タルコフスキーの伝説的な作品が、美しいニュープリント版によるリバイバル。イタリア、トスカーナ地方を旅するロシアの詩人。故郷を離れて久しい彼は、陽光きらめく南イタリアにもなじむことができず放浪する。そんな彼が幻視するのは、捨てたはずの故国の風景だった。「死に苛まれるほど請いねがう感情をノスタルジアというのだ」とタルコフスキーが述べた故国への複雑な感情を、詩人に仮託して描かれる大叙事詩。晩年に亡命し、自らの作家生命を賭けて異国で暮らした監督自身の強い思いが作品の隅々に横溢する。緑豊かなイタリアの風景と対照的な荒涼とした心象風景としてのロシアの大地が、深い幻想の中で交じり合う瞬間は、タルコフスキーにとって暗黒だったソ連時代の終わりを予感させる。彼の死から20年を経ても、ジュゼッペ・ランチの美しい撮影と、トニーノ・グエッラの手になる詩的なセリフに支えられた超絶的な映像世界は、今なお他の追随を許さない。
2003
7/19(土)
～7/25(金)
| 朝10:40 |
| 夜8:05 |
当日券
一 般 1700円
大学生 1500円
シニア 1000円
中高予 1200円
会 員 1300円
前売券
一 般 1400円
大学生 1400円
会 員 1200円
※前売券販売は公開前日までです。
