●BORDER LINE 北に向かって自転車で走る少年は、学校にも家にもなじめなかった。「10年後の自分」という課題作文や実習用の作業服は彼をいらだたせる。17歳は無力で、傷つきやすい年令だ。途中で出会う、はぐれもののヤクザ(光石研)も、アルコール依存気味のタクシ−運転手(村上淳)も、援交でつかまる女子高生(前田綾花)も、同じように、傷つきやすい存在だ。偶然すれ違う主婦(麻生祐未)も家庭崩壊の危機に直面している。『BORDER LINE』の登場人物たちは、少しずつ似たところがある。一人一人の人生は少しずつ重なっているし、同時に誰もが大きな影を背負ってしまっている。ヤクザが少年に託し女子高生へと手渡されるひとつの凧が、彼らのすさんだ心を解放し、紡いでいく。 『青 chong』で、新人とは思えない達者な手腕を見せた李相日監督待望の第2作。少年が事件を起こして旅に出る自立の物語という意味で、期せずして「海辺のカフカ」と相似形をなすこの映画は、李監督の卓抜した視線を通して、まさに21世紀初頭の日本の現実を写しとっているようだ。特別出演、都はるみ。118分。 |
2003 11/22(土) 〜11/28(金)
当日券 一 般 1700円 大学生 1500円 シニア 1000円 中高予 1200円 会 員 1300円 前売券 一 般 1400円 大学生 1400円 会 員 1200円 ※前売券販売は公開前日までです。 |
監督・脚本 李相日
脚本 松浦本
撮影 早坂伸
照明 原春男
録音 久保田幸雄
美術 菊地章雄
衣装 宮本まさ江
音楽 AYU
出演 沢木哲、前田綾花、村上淳、光石研、麻生祐未
2002年 118分