10話 Ten イランの巨匠、アッバス・キアロスタミの最新作は、若く美貌のヒロインと、彼女が運転する車に乗り込んだ人々との、車中のみのダイアローグで展開するという大胆な構成で、テヘランで生きる現代女性の率直な言葉を捉えた作品だ。あでやかな化粧をし、珍しい白のチャドルを身につけたヒロインは名を語られることはないが、会話の端々から、離婚をし現在は新しいパートナーと暮らす、芸術家肌の現代感覚に溢れた女性であることがわかる。彼女は母の生き方に反発する幼い息子との会話の合間に、保守性を持った姉と教育について語り、夜の街では男性ドライバーと間違えて彼女の車に乗り込んできた娼婦の、すれた幸福観に好奇心から問いかけをし、離婚し泣き続ける友人には一人の男性に依存する愚かさを批判する。そして、偶然乗り合わせた若い不幸な女性の衝撃的な顛末と、こみあげる哀しみ――。ひたすら移動し続ける映画は女性たちの物語を乗せ、次第に速度を上げながら、我々観客の深い共感を加速させていく。94分。 |
2003
一 般 1700円 大学生 1500円 シニア 1000円 中高予 1200円 会 員 1300円 前売券 一 般 1400円 大学生 1400円 会 員 1200円 |