永遠の語らい
 ●永遠の語らい Um Filme Falado 95歳にして衰えを知らぬポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリヴェイラ。その年齢からは想像しがたいエネルギーで、ほぼ年一作のペースで素晴らしい新作長編を発表している。7歳の娘を連れた、ポルトガルの歴史学者ローザ=マリアは、インドで待つ夫を訪ねるために、地中海を抜ける船旅の途上にある。ポルト、マルセイユ、ポンペイ、アテネ、イスタンブール、そしてエジプトと、古代の英知を具現する遺跡を辿るその旅は、好奇心旺盛な娘の問い掛けに答えながら、自らが歴史をとらえ直す作業でもある。美しく静的な気配が、驚くほどにダイナミックな装いをまとい、端正な映像に収められる。船旅をともにする乗客には、フランスの起業家(カトリーヌ・ドヌーヴ)、イタリアの元人気モデル(ステファニア・サンドレッリ)、ギリシャの人気女優(イレーネ・パパス)ときらびやかな顔触れが並ぶ。3人が船長(ジョン・マルコヴィッチ)と囲むテーブルで、彼らは通訳を介さずに母国語で優雅に語り合う。そこにはヨーロッパが成し遂げた豊穰な連帯と自意識と寛容さとが垣間見えるのだが、必ずしも成熟へとは向わない世界の現実が、急転直下のラストを用意する。文明の長い歴史が過去の遺物ではなく、現実とリンクしていると強く意識した意欲作。95分。

2004
7/17〜23
12:40
2:40
4:40
6:40
7/24〜8/6
朝10:40

当日券
一 般 1700円
大学生 1500円
シニア 1000円
中高予 1200円
会 員 1300円

前売券
一 般 1400円
大学生 1400円
会 員 1200円


※前売券販売は公開前日までです。
オフィシャルサイト

監督・脚本・台詞 マノエル・ド・オリヴェイラ
撮影 エマニュエル・マシュエル
美術 ゼ・ブランコ
衣装 イザベル・ブランコ
出演 カトリーヌ・ドヌーヴ、ジョン・マルコヴィッチ、ステファニア・サンドレッリ、イレーネ・パパス、レオノール・シルヴェイラ ほか
2003年 95分