午後の五時
ハナのアフガンノート

 ●午後の五時 At Five in the Afternoon 22歳にして、すでに世界的な名声を手に入れつつあるサミラ・マフマルバフは、イランで最も著名な映画監督モフセン・マフマルバフの実の娘。14歳で通常の学校教育を離れ、父親のもとで映画製作を学ぶ。18歳の時に『りんご』で国際的にデビュー。『ブラックボード』ではクルディスタン、そして『午後の五時』ではアフガニスタンを舞台に、社会性豊かな作品を次々と生み出し、国際的にも注目される逸材。
 タリバン政権崩壊以降の、アフガニスタンの首都カブール。やっと女性にも解放された学校へと通うノクレ。自由を奪われ、世界から取り残されたこの国を少しでも良くしたいと願う彼女だが、取り巻く状況は厳しい。父親は、タリバンの教えから離れられず、兄はパキスタンから戻らない。帰還民であふれ返る街は、水も食料も乏しい。ある日、学校で教師が問い掛ける。「この国の大統領になりたい人はいますか」もじもじと応える友人を見ながら、ノクレも思い切って立ち上がる。苦しい生活におわれる毎日にも、彼女は様々な人たちに未知の世界のことを尋ねる。知識を加えることが希望をかなえる方法であるかのように…。105分。
●ハナのアフガンノート Joy of Madness 2002年9月「アフガン女性の痛みを主題にした映画」の出演者を探してサミラがスタッフや父モフセンとカブールに来ました。一行を追うカメラは、そのせいで美貌と若さとエネルギーに満ちたこの女性をやや高慢に見せてしまうのですが、おずおずとサミラを見あげています。後に『午後の五時』となる映画のメイキングさながらに、マフマルバフ家の三女ハナ(当時13歳)の撮影記録は、仰ぎ見る姿勢の低さから、しなやかな末っ子の観察を発揮しました。路地の奥に続く民家、ケバブの煙がたなびく乾いた広場……女性と老人そして赤ん坊の三役を求め、これぞという候補にはサミラの情熱的な口説きが始まります。映画が狂気の沙汰に等しかったタリバン政権の影響は色濃く、誰もがこの強気のイラン人女性から逃れるために言い訳、果ては嘘までつき始めます。同時に映画という狂気についての人々の隠せない関心も覗かせ、過酷な状況に希望を見出すおかしさと悲しみが激しく胸をうちます。73分。

2004
8/7〜20
午後の
12:00
3:25
6:45
ハナの
2:00
5:20

当日券(1作品)
一 般 1700円
大学生 1500円
シニア 1000円
中高予 1200円
会 員 1300円

前売券(1作品)
一般・大学生 1400円
会 員 1200円
前売券(2作品)
一般・大学生 2600円
会 員 2300円


当館窓口にて前売券お求めのお客様、オリジナル・ポストカードをプレゼント(限定)
※前売券販売は公開前日までです。