○ペドロ・コスタ 1959年リスボン生。70年代には、パンクロックに傾倒。国立映画学校に学んだ後、ヴェンダースの『ことの次第』にスタッフ参加するなど経験を重ね、オリヴェイラ作品のプロデューサー、パウロ・ブランコと組んで、『溶岩の家』『骨』を監督。ポルトガルの新世代として世界的に注目されている。 ●骨 Ossos リスボン郊外のスラム街で暮らす人々を捉えた劇映画。生まれたばかりの子供と、だらしない父親を巡り、隣人の家政婦、看護婦、妻の人間模様が錯綜する、リアリズム・タッチの長編第3作。街の人々を俳優として起用し、街を満たすノイズをも取り込む演出は、ブレッソンの透明感を連想させる。94分。 ●ヴァンダの部屋 No Quarto da Vanda 『骨』の主題を深化させようとしたペドロ・コスタは、最小規模のスタッフとデジタルビデオを携えて、再度スラム街に向かう。2年の歳月をかけた映像素材は、静溢で美しく、ダイナミックなドキュメンタリー作品として結実した。取り壊し途上の街の片隅で行き交う人々の息遣いが、ヴァンダという名の女の粗末な部屋を中心に定点観測のように捉えられ、麻薬と倦怠に満ちた崩れゆくスラムの日常が、かくも生々しく映し出されるとは! あまりにも短すぎる178分。 ●映画作家ストローブ=ユイレ/あなたの微笑みはどこに隠れたの? Daniele Huillet, Jean-Marie Straub cineastes / Ou git votre sourire enfoui? カイエ・ドゥ・シネマ誌の依頼で製作された、ストローブ=ユイレの奇跡的な記録。『シチリア!』仕上中のふたりの対話が伺える貴重な映像がつづられる。104分。 |
2004
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