『素敵な歌と舟はゆく』『月曜日に乾杯!』の監督オタール・イオセリアーニ(1934年〜)特集。旧ソ連グルジアで生まれ、80年代からパリを拠点に活動し、日々の悲しみや喜びを流れにまかせ、贅を凝らした映像で綴ってゆくが、その視線は老境とはほど遠く、壊れはじめているかもしれない世界の気配をヴィヴィッドに感じさせもする名匠だ。期間中、ロシア圏随一のグルマンなグルジア産ワイン試飲会もあり。映画ともども極上の味をお試しください。 ●四月 Aprili 物質的な豊かさに翻弄される若い男女が愛に目覚めるまでを描いたグルジア時代の至福のコント。上映禁止処分を受けたが、2000年カンヌで復刻版が特別上映された。48分。 ●歌うつぐみがおりました Ikho chachvi mgalobeli ティンパニー奏者のギアは束縛が苦手な無責任野郎、でも憎めない。ヌーヴェルヴァーグの主役は、こうでなくちゃね。初期の傑作。82分。 ●蝶採り La chasse aux papillons フランスの古城で気ままに暮らす二人の老婦人。その城を買収に、日本のビジネスマンがやって来た!おばあちゃん達の見事な生き方や、撮影ウィリアム・ルプシャンスキー、美術スタッフ、マニュ・ド・ショヴィニとの素晴らしいチームなど、スタイルが萌芽した傑作。118分。 ●群盗、第七章 Brigands: Chapitre VII 中世から現代へ、グルジアからパリへと時空を超えて、戦争や暴力を繰り返す権力者に屈せず、ひたむきに生きる人々を讃えたイオセリアーニ主義が縦横無尽に綴られる。郷愁の切なさに涙するラストシーンは圧巻。122分。 ☆お酒と仲間(注・ペットも含む)と歌さえあれば…階級や年齢を超えた共感が溢れる傑作、素敵な歌と舟はゆく(Adieu, plancher des vaches! 117分)、出勤の途中、ふとヴェニスへ旅立つ主人公。大ヒット作、月曜日に乾杯!(Lundi matin 127分)の再映もあり。 ●は初公開作。 |
2004
※前売券販売は公開前日までです。 |