お待たせしました! 年末を飾るシネマテーク独自のスペシャル企画、自主FESの季節がやってきました。一般商業映画とは一味違う、未知の可能性を感じられる3日間。今年も、例年以上のボリュームで、名古屋ゆかりの作家を交えて、演劇や美術ともクロスオーバーするプログラムをお届けします。 Aプロ ○酒井健宏監督特集 近年の名古屋では大学生や専門学校生主催の自主映画イベントがかなり盛り上がっています。シネマテーク通信でも、その辺りの事情を少しずつフォローしてきましたが、有望な若手作家の中でもひときわ異彩を放っているのが、酒井健宏監督。ドキュメンタリーと劇映画の狭間をたゆたうようなはずれ値の歌(92分)、乱反射するイメージが決して後戻りしないまま疾走する愛という名の液体(16分)。ギャグなのか本気なのか、ちょっと油断すると掌を返したように小気味よく裏切られたり、呆気にとられたりもする、不思議な才能をお届けします。 Bプロ ●雲の上 8ミリフィルムで150分のボリュームに圧倒されます(仕上げと上映はDV)。寺の後継ぎながら傷害事件を起こし刑務所に入った主人公の帰郷から始まる物語は、イマドキの映画が消し飛ぶようなリアリティ全面展開の特異な描写力で見るものをひきつけます。社会と相容れない登場人物たちと、彼らが過ごした数年間の時間の流れ、そして、その町が持つ土着の混沌とを一身に背負って疾走する、潜在的な力感は、新鮮な驚きに満ちています。監督の富田克也は映画美学校の第1期に在籍。その後独自の路線を突き進むも、本作で、今年度の映画美学校映画祭スカラシップを獲得。150分。 Cプロ ●be found dead 野心的な作・演出で知られる遊園地再生事業団の宮沢章夫がプロデュースしたオムニバス映画。元々は宮沢演出の演劇公演「トーキョー/不在/ハムレット」にあわせて製作されましたが、もちろん独立した映画として楽しめます。遊園地再生事業団の名古屋公演が待たれる昨今、まずは映画を。第4話のオリエンテ・リングは、昨年の当FESで「亀虫」シリーズが大評判だった冨永昌敬監督作品。5作品いずれもが、「死体」がテーマ。しかも、いずれも、その発見者へとスポットを当てる。あまり注目されない事件のもうひとりの主人公をめぐる、ひとくせもふたくせもあるストーリーが「発見」される。108分。 Dプロ ○青木兼治+ヤノベケンジ映像コラボレーション特集 現代美術家ヤノベケンジと映像での共同作業を続けている青木兼治。チェルノブイリ訪問と代表作品をフィーチャーして、北九州美術館の依頼で作られたアトムスーツ・サヴァイヴァル・リヴァイヴァル(14分)、大阪万博での未来都市のモデルだった「空中都市」を解体する模様を描いたタワー・オブ・ライフ(16分)、かの有名な岡本太郎デザインのシンボルタワーを巡る一大プロジェクト太陽の塔乗っ取り計画(64分のフルバージョンの上映は極めて珍しい)。いずれも、原子力や万博を通して、現代文明の意味を問い直しつつ、脱力するようなユーモアに溢れた作品ばかり。 |
2004 12/18
12/19
12/20
連日夜8:45〜 何でも持って来い!
|