●マゴニア MAGONIA 病院のような施設に入院している父親を訪ね、手製の凧を揚げながら、空想のような、それでいてリアルなような寓話を楽しげに聞く少年。あるときは、モスクの塔からコーランを高らかに謳う、老いた師と青年の話であったり、荒れ地にうち捨てられたような粗末な家に暮らす老人と偶然通りかかった旅行者の夫婦の話であったり、寒風吹きすさぶ港町で男の帰りを待ちつづけた女の話であったりする。人生の厳しさや目に見えぬ愛情が錯綜する、切なくも美しい三篇の物語と、それを紡ぐ少年と父親の静かな語り口は、複雑に絡み合い、それぞれが独立していながらも、深く深く関連づけられた希望への祈りのようにも見える。天空に浮かぶという伝説の国マゴニアというモチーフを、想像力豊かな大人のファンタジーに結実させた、オランダの女性監督イネケ・スミツの手腕は、きわめて独創的。特に終盤の巧みな編集(あるいはシナリオの構成?)は、すべてが解き放たれるような幸福感に満ちている。112分。 |
2005 4/16(土) 〜4/22(金)
4/23(土) 〜4/29(金)
当日券 一 般 1700円 大学生 1500円 シニア 1000円 中高予 1200円 会 員 1300円 前売券 一 般 1400円 大学生 1400円 会 員 1200円 |
監督 イネケ・スミツ
原作・脚本 アルチュール・ジャビン
出演 ウィレム・フォーフト、ディルク・ローフトホーフト、アミラン・アミラナンシュビリ
2001年 112分