●エレニの旅 Trilogia: To Livadhi Pou Dhakrisi 『永遠と一日』以来、全世界の映画ファンが心待ちにしていた、ギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロス、渾身の新作。ギリシャの(そしてヨーロッパの)近代をたどる、壮大な三部作構想の端緒となる本作は、今世紀初頭、ロシア革命の余波でクリミア半島オデッサの住み処を失ったギリシャ移民の一団が、故国に戻り、北ギリシャのテサロニキ近くの平原に新たな村を建設することから始まる。中心となっているのは家父長的な権威を発散するスピロス。彼の息子、アレクシス。そして、孤児として拾われ、育てられる少女、エレニ。 新しい村の発展とともに、成長するエレニの人生を、アンゲロプロス作品に特徴的な、ゆるやかで息の長いキャメラワークが追い続ける。美しく成長したエレニを娶ろうとするスピロス。人知れず愛し合うようになったアレクシスとエレニ。何かにおびえるような村人の様子。そして、村を出る若いふたりは、スピロスの影におわれながら、難民であふれるテサロニキに、そして音楽家たちの集う村に身を隠しつづける。1930年、ヨーロッパの火薬庫といわれたバルカンの夜の底を彷徨するふたりの歩みは、そのままギリシャ近代史をなぞる。第二次大戦、さらに続く内戦。地中海から新大陸、そしてオキナワの激戦地まで、彼らの苦難は続く。回想と幻想を交錯させながら。 アレクシスのアコーディオン演奏とともに、バイオリンやクラリネットを中心にした、典型的なバルカン・ウェディング・バンドの演奏もたっぷりと楽しめます。重厚にして美麗、息をつかせず駆け抜ける、充実の170分。 |
2005 4/30(土) 〜5/20(金)
当日券 一 般 1700円 大学生 1500円 シニア 1000円 中高予 1200円 会 員 1300円 前売券 一 般 1400円 大学生 1400円 会 員 1200円 ※前売券販売は公開前日までです。 |
監督 テオ・アンゲロプロス
脚本協力 トニーノ・グエッラ、ペトロス・マルカリス、ジョルジオ・シルバーニ
撮影 アンドレアス・シナノス
音楽 エレニ・カラインドルー
出演 アレクサンドラ・アイディニ、ニコス・プルサニディス ほか
2004年 170分