●僕が9歳だったころ ヨミンは、上級生をも黙らせるガキ大将。でも弱い者いじめはしない。正統派だ。障害を持つ母の眼を治すのが夢。彼のクラスに転校生が来た。ソウルから来た美少女、ウリムだ。装いも持ち物も都会風で、アメリカ帰りだという彼女にクラス全体が浮き足立つ。でも、彼女の笑顔の裏には、誰にも話せない哀しみが隠されていた。ヨミンもまた彼女のことが気になって仕方がないが、素直にはなれない。それは、ウリムも同じだ。9歳の子供にだって、9歳なりの意地とプライドがあるのだ。近づいたり離れたり、小さな世界なりの大きな事件があり、いつしか幼年期の終わりが近づく。 誰もが通り過ぎながら、いつしか記憶の片隅に追いやってしまう子供の頃の思い出。1970年代の韓国の地方の村を舞台に、少年と少女のほのかな恋心を描く『僕が9歳だったころ』は、暖かいまなざしに満ちた作品だ。その優しさは、誰もが思い出を失ったのでなくて、実はちょっと忘れているだけなのだと、時間を大きく引き戻してくれる。ノスタルジーではなく、痛いほど生々しい実感として。UCLAで映画を学び、『アポロ13』の助監督などアメリカでキャリアを積んだユン・ノイ監督は、瑞々しくも戸惑いを隠せない少年少女の表情を鮮やかに切り取る。105分。 |
2006 3/11(土) 〜3/17(金)
3/18(土) 〜3/24(金)
当日券 一 般 1700円 大学生 1500円 シニア 1000円 中高予 1200円 会 員 1300円 前売券 一 般 1400円 大学生 1400円 会 員 1200円 ※前売券販売は公開前日までです。 |
監督 ユン・イノ
脚本 イ・マニ
原作 ウイ・ギチョル
音楽 ノ・ヨンシム
撮影 チョン・ジョミン
美術 シン・ジョミ
出演 キム・ソク、チョン・ソンギョン、チュ・ドンムン ほか
2004年 105分